毎年恒例の学部3年生向けの少人数形式の授業(少人数セミナー)の現地視察、今年は熊本に行きました。
 初日(12/2)は熊本地震(2016年)の大規模斜面崩壊現場や、最近復旧した南阿蘇鉄道の第一白川橋梁、最近オープンした震災ミュージアムに行きました。震災当時、(前職の業務で)JR豊肥線復旧のために何度も現地を訪れましたが、やはり時間の経過と共に斜面に残る生々しい痕跡は見づらくなっていました。でも、現地には数々の震災遺構が用意されており、記憶の風化を防ごうとする地元の方々の気持ちを感じました。
 2日目(12/3)は球磨川下流部の遥拝頭首工と、2020年豪雨で被災したJR肥薩線の被害状況を見学しました。遥拝頭首工は農水省管轄で、広大な八代平野の農業・工業用水を管理する重要インフラであり、日奈久断層直上に立つこの施設の耐震補強事業と、歴史的遺産の八の字堰(由来は加藤清正)を守ることの重要性を感じました。JR肥薩線は2020年球磨川豪雨の傷跡が生々しく残っていました。悩ましいのが鉄道復旧費用で、仮に復旧するとしても球磨川の河川政策に合わせて鉄道軌道(特に河川橋りょう)の嵩上げが必要で、工事費が膨大になるようです。自然災害で被災した地方鉄道の復旧費用負担の在り方について深く考えさせられました。
 今回は週末であるにもかかわらず、農水省の方やJR九州本社の方に現地で案内していただきました。授業と言いながら、引率教員も3年生4人と一緒に勉強した現地視察になりました。地盤工学、まだまだ取り組むべき技術課題が多くありそうです。